教育・訓練分野で注目が集まるVR!どこで活用されているの?
動画や映画を楽しむためにVRを利用したことがある人もいるかもしれませんが、ビジネス面でもVRの活用が進んでいます。VRの活用として注目されているのは教育・訓練分野です。ビジネスの場面で教育や訓練でどのようにVRが活用されているかの事例や導入費用や注意点について当記事で紹介します。
世界的に見てもVR市場は成長している
世界的にVR市場が成長している中で、VRという言葉自体を聞いたことがある人も増えていることでしょう。
バーチャルリアリティ(VR)とは、コンピュータグラフィックスを利用して、3次元の仮想空間を再現する技術です。ヘッドマウントディスプレイを装着することで、視覚、聴覚、触覚などあらゆる感覚を刺激し、没入感のある体験ができるようになります。
ここ数年、ARおよびVR市場は世界的にその存在感を大きく増しており、ある米国のIT専門調査会社によると、ARとVRのハードウェアやソフトウェア、関連サービスを合わせた世界の支出額が2018年から2022年にかけて年平均成長率69.6%と飛躍的に成長しているとされています。
ビジネス界でもっともニーズがあるのは教育や訓練と言ったトレーニング用VRですが、トレーニング用VRの市場は2019年に全体の64.5%を占め、2022年には80%を超えるようです。日本のVR関連市場支出も教育や訓練と映像制作に利用されるケースが大半を占めています。
VRは特殊な条件や環境でも再現できるため、さまざまな産業やビジネスを支援できます。さらに、ほかの方法ではリスクが高く、あるいは教えることが不可能な活動を、簡単かつ費用対効果の高い方法で体験できるといったメリットから、導入する企業が増加しています。
ビジネスにおけるVRの活用が、世界的に大きく広がっていることは明らかです。
教育・訓練の分野で大きく貢献しているVR技術
ビジネス用途で教育訓練の分野で大きく貢献しているVR技術ですが、実際にどのようなシチュエーションで導入されているのか見ていきましょう。
防災・安全
防災の分野では、火災時の対応をシミュレーションするシステムとして採用されています。たとえば、VR映像のCGを活用した避難訓練や消火訓練が行われています。また、警備会社では、煙の中での避難誘導や避難器具の操作の様子を投影したVR訓練を実施し、従業員の心構えを整えています。
作業訓練
新入社員の研修にもVRが採用され、入社前に現場に触れることが可能になっています。たとえば、ある建設会社では、鉄筋の構造をVR空間で再現し、新入社員研修に活用しています。
現場に不慣れな人が危険な足場を疑似体験することで、自分を危険にさらすことなく理解を深められる点が人気を集めています。
そのほかにも製造業では機械のメンテナンス、点検作業、ベテラン作業者の実習方法、医療分野では患者の手術シミュレーションや痛みの緩和など、さまざまな作業訓練でVRが活用されています。
サービス業や不動産
サービス業などでは、新入社員が現場で接客を始める前に、VRによる没入型のシミュレーションやロールプレイで、お客さんの悩みを解決する方法を学べる接客教育を行うといった事例があります。
コンプライアンス研修
昨今コンプライアンスへの意識向上が重要視されていますが、企業内のコンプライアンスをVRで疑似体験することで、社員のコンプライアンス意識を向上させるケースもあります。ある法律事務所と企業が共同で開発したVRでは、パワハラやセクハラの被害者としての体験ができる研修事例があります。
教育・訓練にVRを導入する際の費用や注意点とは
ここまでVR技術の発展や導入事例について見てきましたが、教育や訓練にVRを導入する際の費用と注意点についても触れておきます。
導入費用の相場
教育や訓練にVRを導入することで劇的に業務が改善されますが、導入コストが気になる人も多いことでしょう。自社でVRコンテンツを開発するケースでは業者に委託する場合と自社で人材を採用する場合によって異なるため、数百万円のコストで済む場合もあれば、1,000万円以上のコストがかかる可能性があります。
一方でVRコンテンツの事業者から購入もしくはレンタルすれば制作費が不要となり、大幅に導入コストを削減できます。VRコンテンツを購入する場合は数十万円~、レンタルの場合は数万円~と導入のハードルが低くなります。
導入する際の注意点
教育や訓練にVRを導入する前にどのような目的や内容としたいのかを明確にしたうえで予算を決めておく必要があります。その上で自社コンテンツとして開発しなければならない内容であるか、既存コンテンツを活用できるかどうかといった点を検証しなければなりません。
またVRによる教育や訓練は疑似体験できるというメリットがありますが、知識を習得する研修には向いていないことも押さえておきましょう。通常の研修とVR研修をハイブリッドさせながら、自社に適した研修方法を模索していくことが重要です。
まとめ
今回は教育訓練分野で注目を集めているVRの導入事例について紹介しました。世界的にもVR市場が成長していますが、市場の多くを占めている教育関連分野の導入事例として、防災や安全面、作業訓練、接客サービス、コンプライアンス研修といった教育・訓練が挙げられます。
VRを導入する費用は自社開発か既存サービスの活用によって大きく異なるため、まずは導入目的や内容、予算を明確にした上でVRの導入を検討しましょう。