住宅会社が注目している!「VR住宅展示場」の魅力とは
VRといえば非現実的な空間を体験できるツールとして注目が高く、とくにゲームや娯楽業界で脚光を浴びています。しかしVRで体験できる空間はなにも「非日常」だけではありません。住宅業界ではVR技術を導入することで、時間や場所を問わずすべての顧客に対して自社のモデルハウスや物件の魅力をアピールできる「VR住宅展示場」に注目しています。
大手メーカーを中心に広がる「VR住宅展示場」
VR(VirtualReality)とは、仮想現実や人工現実感と訳される言葉で「物理的には存在しないものの、本質的には現実である」という意味合いをもっています。一般的にはゲームや体験映像などエンターテインメント分野で取り上げられることの多い技術ですが、VR技術は娯楽だけではなくビジネスの分野にも普及しています。
不動産もVR技術を導入している分野のひとつです。ひとことでVRといっても、実現方法はさまざまです。代表的なものはヘッドセットと呼ばれる頭部に装着するデバイスから音と映像のデータを出力するものと、スマートフォンに装着して使う簡易的なデバイスを使うもの、ゴーグルやヘッドセットがなくても体験できる360°閲覧に対応したコンテンツをWeb上で提供するものです。
不動産業界においてVR技術は、住宅展示や内見を目的として活用されています。不動産屋に足を運べる場合にはVRゴーグルなどのデバイスを使った内見、オンライン上でのVR住宅展示場はデバイス不要で利用できるブラウザ上での体験コンテンツが採用されています。VR住宅手展示場やVR内見などのサービスは、ヘーベルハウスや積水ハウス、大和ハウス、ウィザースホームなど大手メーカーを中心に導入企業が増えています。
不動産業界のVR技術導入は新型コロナによる生活様式の変化や、顧客の情報収集先がオンライン化していることなどの背景に適合した、相性のよいシステムといえます。ハウスメーカーがVRを活用して住宅展示場を作ることで、顧客側は時間や場所を問わずに優良で魅力的な情報を入手でき、企業側は現地案内する時間・人件費などのコストを削減できます。
住宅会社はなぜ注目している?VRを利用するメリットとは
VRを利用することで住宅会社が得られるメリットは大きく分けて2つあります。1つは多くの人に見てもらえる機会が増えることです。実際の住宅展示場の訪問にはまとまった時間の確保と、移動のための労力が必要です。そのため家を建てたい、モデルハウスを見てみたいという願望があっても、住宅展示場への訪問が叶わなかったり、足を運ぶことを億劫に思ってしまったりするケースもあります。
また、住宅展示場で強引な営業を受けるかもしれないと警戒して、足が遠のいてしまう人も一定数存在するでしょう。VR展示場であればパソコンやスマートフォンで物件を確認できるため、まとまった時間が取れなくても空き時間を活用して、気軽にアクセスできます。悪天候時であっても影響を受けず、自分が主体となって見たい物件だけを自分のペースで見て回れるため、住宅内覧の敷居が低くなることで集客率を上げることができるため、その分販売のチャンスもアップします。
もう1つのメリットは、モデルハウスの建設・維持コストを抑えられる点です。これまでは全国各地に存在する顧客候補にモデルハウスを体験してもらうため、複数のモデルハウスを建てて管理する必要がありました。もちろんモデルハウスの建設、維持には費用がかかるうえ、モデルハウスを訪問する顧客に対して説明や案内を行う人件費も必要です。
一方VR展示場の場合、既に建築したモデルハウスが一軒あれば、VRデータにするための専用カメラで撮影・配信することで、日本中の顧客候補にモデルハウスを体験してもらえます。すべての顧客に対して同一のデータでプレゼンできるため、モデルハウスの管理状態によって与える印象がばらつくこともありません。
住宅展示場の運営コストを削減できるので、経費を削減し、商品価格を下げることができます。これによりさらに売り上げを伸ばすという正のスパイラルにつなげることも期待できます。
VR技術の活用は来場者にもメリットがある
VR住宅展示場は来場者にもメリットがあります。もっとも大きなメリットは、物件への移動にかかる時間とコストをカットできることです。現地に直接足を運ぶ必要がないため、物件への移動時間が省略でき、その分多くの候補物件の比較検討に時間を割くことができます。移動の必要がないため、現地への移動費用も不要です。
とくに、候補物件が自宅から遠く離れているほどメリットが活かされ、遠方への引っ越しの際や移住などを検討している場合に重宝します。取り扱いさえあれば、海外の物件のVR内見も可能となるため、物件探しにかかる資金面でのハードルを大幅に下げることができます。
周辺の騒音レベルや、壁材や床材の質感、においなどVRでは把握しにくいポイントについては、実際に現地に足を運ぶ必要がありますが、VRを通してあらかじめ候補物件や確認すべきポイントを絞り込むことで、現地での検討に費やす時間を短縮できます。
そのほかのメリットとして、従来のスタンダードな情報源であるパンフレットやチラシといった画像データと比べて多くの情報を得ることができるため魅力を体感しやすいこと、スマートフォンやPCさえあれば場所や時間を選ばず物件探しをしたいと思った時に物件の閲覧ができること、また、感染予防の側面を持つことも挙げられます。
まとめ
VR技術を不動産業界に導入したVR住宅展示場の魅力についてご紹介しました。VR住宅展示場によって、顧客側は時間や手間を最小限に抑えつつ、理想の家を探すことができます。またVRでは写真や動画だけでは把握しづらい「空間の魅力」を体験できます。住宅会社側もモデルハウスを各地に建設・維持するコストや、現地案内するスタッフの人件費といった費用を削減できるというメリットがあります。また、家探しのハードルが下がることで集客力があがり、売上の向上が見込める点も魅力です。