企業研修にVRを取り入れるメリット・デメリットとは?

公開日:2022/07/27  最終更新日:2022/08/23

現代社会において、VRはエンタメやスポーツ、医療など、さまざまな分野で使われています。昨今では、研修に導入している企業も増えてきました。VRのメリットを最大限に活かし、社員の危機管理力の向上に成功している企業もあります。ここでは、VR研修の特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく解説しましょう。

「VR研修」とは?

VR研修とは、その名のとおり「Virtual Reality(仮想現実)」技術を活用する研修方法を指します。ゲームのイメージが強いと思いますが、昨今では企業の研修にも用いられるようになりました。

VR技術を研修に取り入れ、仮想空間に映し出されたリアルな現場を体感することで、社員のスキルや意識向上が望めます。

企業研修にVRを取り入れるメリット・デメリット

こちらでは、企業研修にVRを取り入れることで得られるメリットやデメリットをご紹介します。

企業研修にVRを取り入れるメリット

・人員の削減ができる

社員研修においては、もちろん指導員が研修を行います。しかし、中には人員が足りず、充分な指導が行えない企業も。研修現場や内容を再現できるVR研修は、指導員がいなくてもリアルな体験を通じて自習形式で手軽に研修を実施できます。

・時間や場所に制限されない

VR技術によって、時間や場所に制限されず自社内で研修を行えるようになります。企業によっては野外で行う研修もありますが、VRであれば屋内にいても野外研修が可能です。

・コスト削減につながる

従来の社員研修では、研修会場を借りたり、研修会社に費用を支払ったり、また宿泊費や移動費など、さまざまな場面でコストがかかっていました。VR技術を活用すると、いつでもどこでも隙間時間で研修が可能になり、これまでかかっていた研修にかかる費用を大幅に削減できます。

・リスクの高い研修も安全に行える

職種によっては、業務時に起こり得る事故や事件を想定して身を守る安全研修がある企業もあります。ですが、危険な状況を再現することは難しく、座学ではリアルさに欠けてしまうのが現状です。

研修にVR技術を取り入れると実際の事故や事件を忠実に再現できるため、体験を通じて即実践で活用できる知識を得ることが可能です。

企業研修にVRを取り入れるデメリット

・初期コストが高い

VR研修は、授業用のソフトやコンテンツ制作、VRヘッドセットの導入など、導入するための初期コストがかかる点がデメリットです。研修回数が多い企業にとってはメリットのほうが大きいといえますが、研修が少ない企業にとっては導入しづらい傾向にあります。

・VR研修に詳しい指導員が少ない

VR研修を導入している企業が増えているといっても、まだメジャーとは言えません。「どのように操作すればよいのか」「どのようい研修を進めればいいのがイメージができない」など、不安を感じている指導員もまだまだ多いでしょう。

滞りなく研修を進めるためにも、研修の目的や対象者などを明確にし、制作会社にしっかりとイメージを伝えられるようにしておくことが重要です。

VR研修を導入する際にチェックするべきポイント

企業でVR研修を導入する際に、どのようなポイントをチェックすべきかご紹介します。

VRデバイスにするか画面投影方法にするか

VRといえば、ゴーグルをつけて仮想空間を体験するという、ゲームのようなイメージを持っている人が多いでしょう。しかし、VR研修は、VRデバイスを使用するものばかりではありません。研修コンテンツをPCやスクリーンに写して見せる画面投影方法も、実際の企業研修で多数実施されています。

VR研修は、没入感が高く即実践で活かせる知識が得られ学習効果が高い点が最大のメリット。一方、画面投影方法は多人数に対する研修に向いており、遠隔地への配信にも使えるという点がメリットです。

VR研修と画面投影を目的に合わせて組み合わせて実施されるケースが多いようです。研修の目的や対象者などをよく考慮したうえで、どの内容をVRで伝え、画面投影で伝えるのが効果的かを考え、適材適所で効果的にVRを活用されるのがいいでしょう。

VRコンテンツを実写にするかCGにするか

VRコンテンツは大きくわけて「実写」と「CG」があります。実写は、実際のシーンを360度カメラなどで撮影して作成されるので、実際に起きているかのような臨場感の中で学べる点がメリットです。

CGは、3DCGを使って作られた、いわゆるゲーム画面のようなコンテンツ。インタラクティブ性が高く、実写では再現できない状況を再現することが可能です。

それぞれ制作期間や費用面でメリット・デメリットがあるため、予算や導入までの期間、期待する効果などを踏まえて判断することをおすすめします。

VR研修の具体的な活用事例

VR研修は具体的にどのような企業で、どのように活用されているのでしょうか?こちらでご紹介します。

JR東日本

JR東日本では、実際の事故を体感できるVR研修を行っています。線路工事スタッフを対象として、以前から運転者目線での乗車体験を実施していました。しかし、やはり危険な状況を再現することは難しく、スタッフも危機感をあまり感じられません。

こういった課題を解決するため、JR東日本では危険な事故をVR研修によって再現しています。リアルに危機感を体験でき、路線事故の恐ろしさを痛感することが可能になったそうです。

セコム株式会社

警備会社のセコム株式会社は、警備業界で初のVR研修を導入しました。「煙が充満した中で避難誘導する」という危険な現場を疑似体験することで、社員の危機管理力の向上に成功しています。

まとめ

VR研修とは、VR技術を活用する研修方法のことです。VR技術を研修に取り入れることで、場所や時間に制限されず、どこにいても隙間時間でトレーニングが可能になります。危険が生じる研修を行う企業にとっては、実際に事件・事故現場をリアルに体感することで、社員の危機管理力を向上させることにもつながっています。

VR研修には、時間や運営にかかる費用を削減できるメリットがある一方、導入にかかる費用が発生し、運営にスキルが必要になるという懸念点も。また、VRでの体験と画面投影による座学を目的に合わせて効果的に使い分ける必要があります。予算や導入までの期間、期待する効果などを踏まえて検討するとよいでしょう。

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