VRは安全教育に役立つ?メリット・デメリットを解説!

公開日:2023/03/15  最終更新日:2023/02/08

仮想現実を体験できるVRは、現代ではさまざまなことに利用されています。安全教育にVRを使用すれば、受講生は安全な状況にいながら実際に危険や災害を体験したかのような感覚をもてるので、効果的な危機管理能力の向上が可能です。今回はVRの大きな特徴、そしてVRを安全教育に導入するメリットとデメリットについて解説します。

現実ではありえない事象も再現できるのがVRの大きな特徴

以前VRはゲームに応用されることで進化し始めました。当時のゲームは、ディスプレイ表示されるドット画と数ビットの安っぽい単音の組み合わせでしたが、つくられた非現実を充分に表現できていたので、人々はこれを楽しんでいました。

やがて動作や景色、音などを高度に表現できるようになると、ひとつの画面には収まらない多くの情報を求められるようになってきます。

そしてゲームの世界に入り込んで思うままに動くなどいろいろ体験してみたいといった、ゲームをする人の究極の非現実的欲求によってつくりだされたのが、仮想の空間において現実であるかのような体験を表現する技術つまり、VR技術です。

VR技術は、主として自分の動きまたは視点と、ディスプレイの視点または角度を同期させることにより、あたかも非現実空間を思い通りに見てまわれるような錯覚のひとつを利用したものです。

自分の動きで、見ようとするものを見られるだけでも、非現実的な空間のなかに入りたい欲求を充分に満たせるので、大変画期的なビジネスモデルとして脚光を浴びました。次第に水中や上空、宇宙空間などの、見たいと考えていた現実にはない空間や、実際にはありえない状況の表現が可能になっていきました。

そして本当には体験するのが難しいことがらのなかの災害や危険を、仮想空間に表現することで、教育として応用しようと登場したのが安全教育VRです。

安全教育の一環としてVR技術を導入するメリット

自分の身に起こったこととして体感できるVRを使用した安全教育は、安全に対する意識を効果的に向上させてくれるので、導入を前向きに検討したいところです。

しかし、実際に利用してみると想定外のことが起こる場合もあるでしょう。VRの技術を安全教育に取り入れるメリットにはさまざまなものがありますが、ここではまず、ビジネス面におけるメリットを説明しましょう。

コスト面

宅急便などで送れるので、場所や時間を選ばず、安全教育受講者の交通費を軽減できます。またレンタルの場合は、初期の経費を抑えられ、買取の場合も、ソフトウェアを5年で償却できます。

運用面

持ち運びが簡単にでき、100Vのコンセントがあれば、いつでもどこでも使用可能です。そして、マニュアルを読めば簡単に操作できるので、多くの人が同じ質の教育を受けられます。

ユーザー

アップデート不要で、メンテナンスの必要がないなど操作しやすいので、講師の育成が容易です。また清拭して使用すれば、一人ずつ行うのでほかの人と充分な距離が取れます。

つぎに、安全教育に使用するVRには3つの種類があります。ここでは、それぞれの種類における実用面でのメリットをお伝えします。

CGタイプ(トラッカー)

室内において、決めておいた範囲であればどこにでも移動できます。そして、そばに人がいても干渉したり混同したりせず実施でき、動作の速さや立ち位置も調整できます。

CGタイプ(3Dカメラ)

人と同じような細やかで、滑らかな動きに近い再現ができます。また、手指を自由に動かせ、動作の速さや立ち位置も調整できます。

実写タイプ(360℃カメラ)

現実そのものなので、音や目に見えるものに違和感がありません。さらに実写に画像やテキストを浮かび上がらせられるので、写真付きで作成したマニュアル書より分かりやすい教材が作れます。そして撮り直しで作り直せるので、シナリオ作りやコンテンツ作りが簡単にできます。

VRを安全教育に利用するうえでデメリットも存在する

そしてVRを安全教育に使う場合、デメリットもあります。ここでは、まずビジネス面におけるデメリットを説明していきましょう。

コスト面

買取であれば、50万円くらいからの費用がかかるので、高額な初期費用が必要です。また、保証料が別にかかるうえ、使用年数を経るごとにコードなどを含む消耗品を購入し直す必要があります。

運用面

小ぶりなので盗難にあう可能性があります。そして、電池・電源がない、もしくは充電できない場合は使えません。また、一人ずつの実施なので、待機時間が長くかかります。

ユーザー

賠償責任を負うこともあり、機材が故障した場合は対応が難しくなります。そして、費用対効果の評定も難しいでしょう。また、受講した者にけがなどをさせた場合は責任を負う必要があります。

つづいて、3種類のVRごとに実用面におけるデメリットを紹介します。

CGタイプ(トラッカー)

人間と同等の細かく滑らかな動作は不得意で、胴や指などトラッカーをつけていない場所は再現できません。トラッキングの不具合により、左右が反対になることがあります。

CGタイプ(3Dカメラ)

エラーでCGの位置がぶれたり、ずれたりしやすくなります。また、そばに他人がいたり太陽の光が入ったりすると干渉や混同が生じ、実施しづらくなります。3Dカメラの範囲に行動が制限されるのもデメリットです。

実写タイプ(360℃カメラ)

架空の人物や生物、建造物、機器設備といったものは再現できず、爆発や墜落などの大規模な災害は再現が難しくなります。また、動作の速さや立ち位置は、調整できません。

まとめ

危険を伴う作業の多い職場などにおいて、仮想空間でリアルな体験が瞬時にできるVRで安全教育を実施することは、大きな意味があります。映像から体感を伴って、普段では遭遇しない危険体験をリアルに感じられます。危険感受性などを効果的に高められ、インパクトをもって記憶に定着しやすくなるでしょう。

しかし、VRを安全教育に利用するうえでメリットとデメリットが存在します。今回お伝えしてきた内容を参考にしながら、行う安全教育に適した種類のVRを選んだり、デメリットを補い合いながら組み合わせて使用したりすることで、以前とは違った新鮮で受講者の興味をひきつける講座ができるでしょう。

VRを活用すると、座学のみで行うより効果的な安全教育を実施するお役にたてるとおもいるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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