意外なところで活躍中?驚きのVR活用事例とは

公開日:2022/11/15  最終更新日:2022/11/17

驚きのVR活用事例とは
実際には存在しないのに専用デバイスを用いるとまるでそこに実在するかのように体感できる技術がVRです。VR技術を使えば、漫画や映画で一方的に視聴するのみだった魔法の世界や恐竜の王国にも訪問することが可能です。そんなVR技術の活躍の場は娯楽だけに留まりません。今回は意外なところで活躍しているVR技術の活用例をご紹介します。

【VR活用事例①】大型クレーンの操縦訓練

2012年に発表されたVRゴーグル「OculusRift」でVR業界は注目を浴び始め、2016年にPlayStationVRが発売されると一気にVR技術が身近に感じられるようになりました。

以降年を追うごとに技術の進歩やVRを取入れる企業増加に伴うコンテンツの広がりによって、VR市場は活況を見せています。

とくに新型コロナウイルスの感染拡大のために、人との接触や国内外への移動が難しい状況下では、VR技術は不便さやストレスを解消し得る有効な技術として期待が高まっています。

VRといえばゲームや映像体験といったエンターテインメントばかりが注目されがちですが、それ以外の分野、たとえばより直接的なビジネスにかかわる分野においても活用されています。

たとえば観光やショッピングといった商業、教育や訓練といった人材育成においても、VR技術は導入されつつあります。1つ目のVR活用事例として大型クレーンの操縦訓練をご紹介します。

2022年8月にVRで移動式クレーンの操縦体験・訓練を行える「移動式大型クレーン操縦訓練VR」が発売開始されました。

このVRコンテンツは日本の石川県金沢市の企業株式会社双子ゲームスが、同じ石川県金沢市の金石重機株式会社と共同で開発したものです。

建設現場や工事で使用する移動式クレーンの操縦体験をVRで実現することにより、現実で必要となる実機の準備や動力となる燃料代、操縦するための敷地などさまざまな手間やコストを抑えることができます。

そればかりか、建物や障害物との接触による事故などのリスクを心配せずにトレーニングできるというメリットも併せ持っています。

VRコンテンツの利用には市販のVRヘッドセットと操作用スティックを用います。VR内の運転席にある4つのレバーを仮想空間で操作し、実際のクレーンの動作を確認・学習します。

コンテンツには「フリー操作モード」「試験モード」「練習モード」の3種類のモードが搭載されており、フリー操作モードではクレーン操作時に発生し得るトラブルである「荷揺れ」をわざと発生させています。

これにより、万が一のときの対処方法をシミュレーションで学ぶことができます。VRと訓練分野の相性のよさを示す、理想的な活用例といえるでしょう。

【VR活用事例②】難易度の高い手術のサポート

2つ目のVR活用事例として、医療分野での導入例をご紹介します。

医療分野でのVR技術の普及は、活用領域とそのクオリティの両面において日々進歩があり、患者の疼痛やPTSD(外傷後ストレス障害)などの不安軽減にも活用されるなど、VRが占める役割や重要度も大きくなっています。

難易度の高い手術のサポートもそのひとつです。

ブラジルのリオデジャネイロで行われた、頭部のつながった「結合双生児」の分離という極めて困難な手術を、ロンドンの病院の医師らを中心として、海外にいる複数の外科医がVRヘッドセットを装着して立ち合い参加しました。

手術を成功に導いた要因は大きく分けて2つあります。

1つめは手術前には双子のCT画像(コンピュータ断層撮影画像)とMRI画像(電磁波と磁力を使った撮影。体の断面画像)から作成した3Dモデルを用いて、二人の結合した脳の状態などを、視点を変えながら観察し、事前に最適な手術手法を検討できたこと。

もう1つは手術中にVRヘッドセットを通じて意見や情報を共有し、同じ手術室にいるかのように協力して手術を進めることができたことです。

この手術には7名の外科医を含む100名超の医療スタッフが加わり、27時間にも及ぶ手術を成し遂げたそうです。VR技術を導入することで地理的な制約が解消され、難病に苦しむ患者を救うことにつながったという事例です。

また高度な技術を持つ医師の手術の模様を収録した動画は、とても貴重な研修用VRコンテンツになりえます。

同じ視点を通し、執刀した専門医の解説付きで研修者が手術を体験できるため、実際の現場に立ち会わずとも、効果的で質の高い学習を可能とし、結果的に優秀な医師を多く育てることにつながります。

【VR活用事例③】審判のトレーニング

最後のVR活用事例はスポーツ分野での導入事例です。実はスポーツ選手がトレーニングにVRを用いるという事例は珍しくなく、サッカーや野球などをはじめとして、プロチームがVRトレーニングを取り入れる例はよく見られています。

過去のプレイデータを仮想空間に構築し、繰り返し視聴することで、相手チームの攻撃の特徴や守備の穴などを見出すことができます。

この方法論は審判のトレーニングにも応用可能です。北米の男子プロバスケットボールリーグであるNBAでは、審判員のトレーニングにVRを導入することを発表しました。

バスケットボールの審判のトレーニングは、プレイヤーを集める必要があるため、選手のトレーニングに比べて複雑です。

この課題を解消するためにイギリスに拠点を置くスタートアップ企業RezzilとNBAが協力し、VRヘッドセットとノートPCのみを使って試合を好きな角度から確認できるシステムを構築中です。

バーチャル上のコートでは、試合を一時停止したり、スローで再生したりできるほか、特定の選手や審判の目線に立ったり、一歩下がった視点での見え方を確認することもできるため、審判のトレーニングに効果を挙げることが期待されています。

まとめ

VR技術といえばゲームや娯楽といったイメージが先行しがちですが、そのほかの分野でも有効な技術として導入が進んでいます。

特殊な車両の操縦訓練にVRを導入することで、実機の訓練に必要な手間やリスクをなくし、トラブル時の対応もシミュレーションで体験できるようになりました。

医療分野ではVRを通して情報を共有することで、難易度の高い手術を地理的に離れた場所にいる複数の医師が、まるで同じ手術室にいるかのようにサポートできるようになりました。またNBAでは審判員のトレーニングにVR導入を試みています。

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